概要
言葉や料理やイベントなど、あらゆる場面で地域ごとの決まりがあるように、ご祝儀袋に関しても地域ごとの決まりがあります。
前項でお祝儀袋の書き方や包み方などの様々な説明をしましたが、これはあくまでも基本となります。
「基本のマナーどおりにご祝儀袋を用意したはずなのに自分だけ恥ずかしい思いをしてしまった。」なんて苦い経験をお持ちの方もきっといらっしゃるのではないでしょうか。そのようにならないためにも、さまざまな地域別ルールを学びましょう。
ご祝儀袋を準備するにあたってまず一番に調べるのはご祝儀袋にかかっている水引の種類ではないでしょうか。一般的には、何度あっても良い一般のお祝いには何度でも結びなおせる花結び(蝶結び)を選び、結婚式のように1度きりで繰り返さないお祝いには結び切りもしくは淡路結びを選ぶとされていますが、もともと水引は地方文化だったため地域によって異なります。時代の情報化が進むことでこのように水引の習慣が一般化されたのでしょう。
関東はこの一般化された水引の習慣にならっている地域が多いです。一方、関西は淡路結びが儀式用の正式の結びとされており、あらゆるシーンで淡路結びを使用します。そして、花結び(蝶結び)は略式と考えられておりあまり使用されません。結び切りは簡単に解けないことから結婚式のお祝い(婚礼)に適しているとされていますが、結び切りと同じ意味を持つ淡路結びを代わりに使用することが多いです。
水引の結びの種類に限らず、色も地域ごとに異なるようで、通常は一般のお祝いに赤白のものを選び、特別なお祝いに金銀のものを選びますが、地域によっては一般のお祝いにも金銀の水引を使用するところもあるようです。
包む金額の相場も地域によって異なるようです。例えば、結婚式に友人にご祝儀袋を包む際、一般的な金額は3万円とされていることが多いですが、これは首都圏、近畿、中国地方の一般的な相場となっています。これと比べて、北海道、青森、秋田、岩手、九州は金額が低い傾向にあります。ご祝儀袋に包む金額については、最もトラブルが生じやすいことなので、事前に周りに確認をして自分たちだけ差がないようにしておくと良いでしょう。
金額について
あなたはご祝儀袋に包まれた金額が思っていた金額より多かったり少なかったりで驚かれた経験はありませんか?実は、ご祝儀袋に包む金額は地域によってかなりばらつきご祝儀袋にまつわるトラブルを防ぐためにも把握しておく必要があります。
例えば、友人の結婚式のお祝いに包む金額ですが、あらゆる本やサイトには3万円が基本と記載されています。もちろんこれは一般論なのですが、よく語られるこの金額でさえも日本全国共通ではないのです。
下の表は地域別の平均額を一覧にまとめたものです。この表からもわかるように、友人に3万円を包む地域は関東地方、近畿地方、中国地方となっています。これと比較して、北海道、東北、四国、九州は平均額が低い傾向にあり、特に北海道については1万円も平均額が低くなっています。一方、中部地方は一般相場3万より高い傾向にあります。中部地方に関しては、中部地方に属する県全てが相場が高いわけではなく愛知県が平均額を引き上げていると言われています。
地域別ご祝儀の平均値(単位:円)
新郎 新婦との関係 |
兄弟 姉妹 |
叔父 叔母 |
従兄弟 従姉妹 |
その他 親戚 |
上司 | 同僚 | 部下 | 取引先 | 友人 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
北海道 | 62,667 | 58,296 | 31,667 | 30,912 | 24,286 | 20,857 | 19,222 | - | 20,156 |
東北 | 70,947 | 66,321 | 32,286 | 31,765 | 28,273 | 25,417 | 24,402 | 31,667 | 26,247 |
北関東 | 78,484 | 68,467 | 38,759 | 35,620 | 32,708 | 27,341 | 28,889 | 27,778 | 28,750 |
東京 | 87,407 | 76,481 | 39,811 | 38,545 | 36,867 | 29,396 | 30,571 | 30,750 | 30,100 |
南関東 | 78,333 | 66,441 | 37,576 | 39,375 | 33,750 | 28,824 | 30,889 | 29,122 | 29,421 |
中部 | 95,833 | 82,949 | 44,667 | 44,076 | 34,818 | 30,909 | 31,333 | 38,011 | 31,818 |
近畿 | 80,455 | 79,294 | 37,125 | 34,148 | 31,176 | 28,444 | 30,176 | 27,011 | 29,525 |
中国 | 71,526 | 60,952 | 34,688 | 33,750 | 31,250 | 27,931 | 26,455 | 30,009 | 29,145 |
四国 | 69,750 | 59,286 | 33,478 | 33,571 | 28,574 | 27,500 | 25,273 | 28,240 | 27,421 |
九州 | 87,619 | 67,941 | 35,862 | 35,833 | 28,077 | 27,778 | 25,221 | 25,111 | 28,953 |
(社)全日本冠婚葬祭互助協会の調査(平成14年度)より
みなさんんは「派手婚」という言葉を聞いたことがありますか?派手婚とはまさに派手な結婚式の略称で、結婚式を豪華にお金をかけて行うことを言います。愛知は派手婚で有名で「娘3人いれば家が傾く」なんて言われているようです。この派手婚の習慣がご祝儀袋の包む金額の相場もあげているかもしれませんね。
わかりやすいように友人から贈る金額の平均を例に説明しましたが、友人のみでなく家族や職場の人などその他の関係の人からのご祝儀袋の金額も同様に地域によって差があります。ご自身の地域以外にお住いの方にご祝儀袋を用意する場合は、周りの人に聞くなどして事前に相場を調べておくことをおすすめいたします。
水引について
水引はその結び方によってそのご祝儀袋の意味が異なってきます。
例えば、結び切りは、固く結ばれ解くのが難しい結び方のことで、一度結んだらそれきりということから、「繰り返すことのないように」「今回きりで終わり」という意味を持ち、そのことから弔事やお見舞いなどでよく使われます。また、結婚式のお祝い(婚礼)に関わるお祝いも、一度結んだらほどけない「結び切り」を使います。また、淡路結びも結び切りの変形と言われており結び切り同様、結婚式などの「人生で一度きりのお祝い」に使われます。
お祝いに「華を添えて贈る」という意味を持つ花結びは、簡単に何度も結び直すことができることから、「何度あっても良い」「繰り返したい」お祝いによく使われます。。具体的には、合格祝いや入学祝いなどの一般的なお祝い事や挨拶やお礼などに使われます。ただし、弔事やお見舞いには「不幸を繰り返す」という意味になり不作法となってしまうため使用は避けられています。
以上が結び方別の一般的な使用用途ですが、もともと水引は地方文化だったため地域によって異なります。時代の情報化が進むことでこのように水引の習慣が一般化されたのでしょう。
例えば、淡路結びについて、この結び方は結び切りの変形として生まれたのですが、関西では淡路結びが儀式用の正式の結びとされており、あらゆるシーンで淡路結びを使用します。そして、花結び(蝶結び)は略式と考えられておりあまり使用されません。結び切りは簡単に解けないことから結婚式のお祝い(婚礼)に適しているとされていますが、結び切りと同じ意味を持つ淡路結びを代わりに使用することが多いです。
水引の結びの種類に限らず、色も地域ごとに異なるようで、通常は一般のお祝いに赤白のものを選び、特別なお祝いに金銀のものを選びますが、地域によっては一般のお祝いにも金銀の水引を使用するところもあるようです。
現在ではカジュアルなデザインのご祝儀袋も数多く販売されるようになったため、あまり色や結び方にこだわらなくなりましたが、きちんとしたお祝いの時にはご自身の地域のマナーに合わせたものを用意に贈る相手に敬意を表したいものですね。
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その他地域別ルール
ご祝儀袋に関する地域別のマナーは包む金額の相場や水引のみではないようです。ご祝儀袋を日本特有の文化とは言いましても、やはり歴史が長いとそれぞれの地域で自然とそれぞれの決まりができてくるのでしょう。こちらのページでは、そんなご祝儀袋にまつわる地域別ルールについていくつかご紹介させていただきます。
まずは中袋・中包みへのお金の入れ方についてです。基本的には、お札の表側(肖像画がある方)が中袋・中包みの表側に向くようにいれ、さらに肖像画が上に来るよう包みます。しかし、地域によっては、肖像画が下になるように入れるようです。お札の表側と中袋の表側を揃えるのは日本全国共通ですので、ここはしっかり押さえておきましょう。
次に、ご祝儀袋を包む袱紗についてです。袱紗は、水引の崩れや汚れを防ぐだけでなく、ご祝儀袋に込めた想いや気を保つ役割を持っており、。ご祝儀袋を渡す際の大切なマナーです。結婚式など、受付でご祝儀袋を渡すときには袱紗をはずし、台代わりにしてその上にご祝儀袋を置いて渡しますが、地域によってはご祝儀袋のみならず包んでいた袱紗も渡すようです。この渡した袱紗を返すかどうかは地域によって異なり、袱紗ごと差し上げる場合もあります。
最後にお見舞金を渡す際のご祝儀袋についてです。お見舞いは、「病はもうこれっきり」ということで結び切りのご祝儀袋を用意します。お見舞い専用のお見舞い袋も望ましいです。しかし、地域によっては、お見舞い金をご祝儀袋に入れるのは無礼だと捉える地域も少なくありませんので、しっかりと周囲に確認をしておく必要があります。
以上は、ご祝儀袋にまつわる地域別ルールの一部に過ぎず、このような細かい違いがたくさんあります。どれも些細な違いに見えますが、マナーを重んじる方にとって、そのマナーと反するやり方でご祝儀袋を渡してしまった場合、不愉快な思いにさせてしまうこともあります。せっかくのお祝いですので、あなたの相手に対する思いを大切に確実に伝えるためにもその地域のマナーをしっかりと確認しておきましょう。